コラム

気象害について

 旭川の2月、晴れた朝は放射冷却で寒さが増します。

 最近は旭川市内でー20℃を超えることは珍しいが、私が小学生の頃はー25℃からー30℃になることがよくあり学校が1時間遅れ、休校になることも多かった。

 また、私が旭川に戻ってきた20代は、冬の朝バックホーのエンジンをかけるのに一苦労したものである。エンジンをかけて暖機運転をし、いざブームをあげると油圧パイプが爆発してダメになることも度々あった。

 そんな寒い朝は、山の木が「バキッ、バキッ」と木槌で幹をたたく様な大きな音が聞こえ、幹が裂けたり折れたりした。

 この現象は、気象害の一つ凍裂である。山中にある当社の畑では、シラカバやニレ、トドマツ等が凍裂の被害を受けていました。

 一般に寒い地方に育つ樹木は、冬期細胞内の糖分を高め凍らないように(耐凍性)を増すのですが、それ以上の寒さが凍裂を招いてしまうのです。

 雪の降らない地方の人には信じがたいのだが、10m以上もあるシラカバが雪の重みで地面につくほど幹曲する冠雪害(層雲峡方面の国道縁でよく起きる)等が良く見られます。

 また、今まで青々していた針葉樹のイチイや園芸種のコニファー類が、春先に急に茶色く枯れてしまう事があります。

 これは、積雪少なく土壌凍結した場所で,風の弱い陽溜り地で日射融解により樹体の蒸散が進み、土壌凍結のため根からの水分供給が無く乾燥死する寒干害という気象害です。

 寒さ雪の降る所に生育する樹木は、糖分を高めたり、枝の雪が落ちやすいように枝を垂らしたり工夫し自然に対応していくが自然に勝てず裂けたり、折れたり、枯れてしまう事があります。しかし、その後をニッチとして立ち上がってくる樹木もあるのです。

 それも自然の摂理です。 

 

     ◆凍裂◆              ◆冠雪害◆

   

 

 ㈱旭川公園管理センター 樹木医 内田則彦