コラム

シラカバ花粉について

 この時期(5月~6月)はシラカバ花粉の問題でシラカバの木を剪定、伐採などを行ってほしいと公園管理センターに要望が上がる。シラカバにおいては大変な迷惑である。ここで少しシラカバについて話をしてみたいと思う。

 シラカバは、別名「パイオニアツリー」とか「マザーツリー」と呼ばれることがある。山など伐開して道を付ける時、光が地面によく当たるようになり、一番初めに生えだし地面を覆ってくるのがシラカバである。(美瑛から白金に上がる道路)の両脇は植えたわけでないのにシラカバで覆いつくされている。

 地面をいち早く覆うことで、地盤が崩れたり流れたりしない様に根によって地面をつかんでくれる。砂防ダムなどでは、法面が崩れない様にシラカバの仲間であるハンノキ等も植栽される。パイオニアツリーと言われる所以は、どの樹種より早く地盤を覆い土などの流失を防ぐためである。

 また、マザーツリーと呼ばれる所以は、いち早く成長するが、一般的に30年から70年ぐらいで寿命を全うする。そして、いち早く土にかえり、次の世代の樹木達の栄養となることから、母なる木「マザーツリー」と呼ばれるのである。また、樹木は一旦根を下ろすと自由に移動することが出来ない。そのため、自分の子孫をより遠くへ広い範囲に残したいため、シラカバが選んだ方法は、「風媒」という方法である。とにかく大量に送粉して少しでも優秀な遺伝子を残そうとするのである。人間にとっては迷惑な話かもしれないが、生物として生きてる以上「種の保存」の法則にのっとり花粉を撒く事は当たり前なのである。また、花粉が飛ばない様に剪定を行えばいいのでは思いますが、それは全くの逆効果で、切れば切るほど量産体制に入る。

 この時期はアレルギー体質の人にとっては苦痛であるが、シラカバだけが花粉を飛ばしているのでなく、スギ、マツ、イチョウ、イネ科等と花粉のオンパレードある。そして、生物全般の不変の法則である種を残すための働きだということを理解していただきたい。

 

一般社団法人 日本樹木医会 

樹木医登録番号 1860号

                                                                     内 田 則 彦