コラム

カラス問題

 カラスの繁殖期は3月頃から巣作りを始め、5月前後に産卵して、6月以降にヒナが巣立つ。

 前回「シラカバ花粉」についても書いたが子孫を残し、種を保存することは、人間をはじめ生物全体の自然の摂理である。

 カラスのヒナが巣立つまでは、凶暴になるのはまったくもって当たり前の事なのであるが、理解が出来ても大概の人は、敏感で過剰に騒ぎ立てる。

 そして巣を発見すると巣を取れ、木を切ってくれとの要望が公園管理センターに毎回寄せられる。

 大概は同じ公園の同じ樹木に巣を作ることが多い。これは如何なることか?

 ほとんどの人は、木があるから巣を作ると考えるが、カラスの繁殖時期以外は林をねぐらとして集団で生活をしているため、公園等の樹木をねぐらにはしていない。

 それでは何故、いつも同じ公園内に巣を作るのか。それは、巣を作る環境に適しているという事である。つまり、エサをたやすく得やすい事、ゴミなどをあさりやすく、ゴミの集積場が散らかっている。

 巣を作る材料がある。巣を分解してみると小枝のほかに良く目立つのは、ハンガー等の針金類、犬の抜け毛等が多い(ペットを散歩させている人が多い地区)

 また、早い時期に巣を撤去すると、すぐ巣を作り直し、段々高い位置に作るようになる為逆効果である。カラスの威嚇は前方から来ることはない、必ず頭の後ろをめがけてかかってきます。大変だけど傘をさす方法が一番効果的です。

 カラスの問題は、人間の生活の近くに寄ってきたカラスが悪いのではなく、カラスの生活に適した環境を作った人間が悪いのであって、餌となるゴミの集積を決まった時間にすることが大切である。もっと巣を作りにくい環境の整備が必要と考える。

 また、「鳥獣保護管理法」により、カラスの巣やヒナは許可なく撤去できません。許可のあるものが作業しなければならないのだが、作業には高所作業車等が必要なため、すぐすぐに対応できないことも了解していただく事を管理をする者として切に願う。

 

一般社団法人 日本樹木医会

                        樹木医登録番号 1860号

                              内 田 則 彦