コラム

蟻は働き者か

 イソップ物語の中に、アリとキリギリスの話がある。

蟻は、一生懸命に働きキリギリスは、遊んで暮らしたため最後は食べるものもなく困ってしまう。「備えあれば憂いなし」の教訓である。

 一般的に蟻は、こまごま動いる為、働き者と思われるようになったと考える。しかし、蟻の巣をよく観察すると何十匹と動き回る蟻のうち、餌となる食糧(他の虫の死骸など)を運搬しているのは1匹いるかいないかである。あとの蟻は、巣穴の周りを動き回っているだけで何もしていない。これには、働かない蟻の法則があるみたいで、すべてが働くのでなく一部の蟻が待機する事で労力が分散されているとか、働き蟻が死んだ時すぐに代わりに働きだすとか、何か環境が急変した時に対応できる為とか言われている。

 私が観察して思うには、働き者と言われる蟻は、雨の日は働かない。天気の良い暖かい日に働くが、朝早くは働きださない、大体午前10時ぐらいから活動し昼の暑いときは働かない。実働1~2時間ぐらいだと思う。大変効率よく都合の良い働き者である。

 また、蟻はアブラムシが大好きである。花や樹木にとってアブラムシは一番の害虫であるが、蟻はアブラムシが出す糖を含んだ甘露をもらい(写真1参照)、アブラムシの天敵であるテントウムシ等の排除を行う。蟻とアブラムシは共生関係にあります。しかし、甘露が出なくなったアブラムシは蟻によって邪魔者となり攻撃排除されます。

 蟻は、本当にシステマチックに行動する昆虫と考えられます。

  

  (アブラムシが排泄する甘露を集める蟻 写真1)

        一般社団法人 日本樹木医会

                        樹木医登録番号 1860号

                        (株)旭川公園管理センター

                              内 田 則 彦